南相馬

お兄さんは笑っていた。いつもわりと明るい。
車が前と変わっていた。
前の車は古くなったからトッポのシルバーに変わっていた。
すいすいと走って山道を通りあの家に着いた。
のどかなところは一つも変わっていない。
だけど空気中に線量がある。家に上がるとおみやげを渡してお兄さんの弟がジュースを出してくれた。
オレンジの炭酸入りだった。どっかのスーパーのメーカーだった。
それから線量計を配られたといって出してコンセントをはめると2、3とか 2、5とかの線量が計測された。網戸の前の日当たりのする畳に座って話をしていたが、そのうち腕の皮膚がチクチクしてきた。 そして子どもたちにチクチクしないか聞いたけどわたしだけだった。
足とかもチクチクしていて、今も少し余韻が残っている。
皮膚になにかを感じた。
お兄さんと弟さんが泊まる部屋にほうきで掃いてくれたりした。 そして弟さんが寝る布団とシーツと枕と枕カバーの上にタオルと上にかけるタオルケットをこれでいいかいっしょに確認した。
扇風機も一台用意してくれた。